不動産相続時には火災保険の名義変更を早めにしましょう
御実家などの不動産を相続する場合、いろいろな手続きをする必要があります。
そのなかには火災保険の手続きがあり、名義変更をしていないと、実際に火事や震災などで被害にあった際に困ってしまいます。
ここでは、「不動産相続時における火災保険の名義変更の手続きや注意点」について、まとめました。
不動産相続時における火災保険の名義変更の手続き
保険金を受け取る権利があるのは、保険の対象となっている不動産の所有者(被保険者)になります。
被保険者は指定しないと、契約者と同じ方になります。
保険契約の当事者で、契約をして保険料を支払う方(契約者)とは異なる場合もあります。
また、被保険者は不動産が親子や夫婦などの共有名義の場合、複数になることもあります。
名義変更の手続きは、契約している火災保険の種類により異なります。
掛け捨て型火災保険
一般的には、保険会社に名義変更をしたいという旨を伝えると、「火災保険契約内容変更届出書」などが送られてきます。
必要事項の記入をして、書類を提出すると、手続き完了となります。
ただし、2015年9月末日までは36年間契約が可能であったため、その長期契約でまとめて支払いが完了している場合、解約返戻金が高額になり相続財産となります。
そのケースに当てはまると、除籍謄本や相続した方の戸籍謄本、遺産分割協議書、実印や印鑑証明などが必要となります。
積立型火災保険
今は少ないですが、積立型の場合は積み立てられているお金があり、相続財産にあたります。
名義変更をして、契約満期になると満期返戻金が支払われ、解約すると解約返戻金が支払われるため、その分が相続財産となります。
保険会社に連絡し、除籍謄本や相続した方の戸籍謄本、遺産分割協議書、実印や印鑑証明などを揃える必要があります。
不動産相続時の火災保険の名義変更をする際の注意点
名義変更前に火災にあった場合
名義変更の手続きが完了する前に、火災にあった場合でも、補償を受けることができます。
ただし、実際に補償を受け取ることができるまでに、名義変更や本人確認などの手続きが必要なため、時間と手間がかかるので注意しましょう。
相続する家が空き家の場合
保険会社によっては、空き家の契約を取り扱っていません。
また、加入できた場合でも、人が住んでいない空き家は一般物件に分類されます。
一般的に、同じ補償内容でも、居住用物件より高くなるため注意しましょう。
古い補償内容の場合
そのままの火災保険を名義変更して契約すると、補償内容が古いタイプの場合があります。
1990年代後半以降、保険事業の自由化が進んだことにより、火災保険の内容が多様化しています。
また、一般的であった「時価」での契約が、現在は「新価」の契約が主流となっています。
「新価」の契約は、同等のものを再建するのに必要な金額が全額支払われます。
「時価」の契約の場合は、「新価」の契約で支払われる金額より、「経過年数による価値の減少と使用による消耗分」をひいた金額しか支払われないため、注意しましょう。