新たな不動産相続のかたち!「家族信託」を利用しよう
不動産相続は現金のように簡単に分配できないこともあり、いざ相続するとなったときトラブルに発展しがちです。
そうならないためには、被相続人が生前にきちんと準備をしておく必要があります。
その方法のひとつとして、「家族信託」というものがあるのはご存じですか?
今回は、家族信託とは何なのか、そして家族信託を利用するメリット・デメリットについてもご紹介していきます。
近年注目を集める家族信託とは?不動産相続は生前準備が大切
「家族信託」とは、遺言状に代わる新しい相続のスタイルとして近年注目を集めはじめた制度です。
文字どおり「信頼できる家族に託す」という意味あいの制度で、財産を託された家族は柔軟にその財産を管理できるようになります。
不動産などの財産を生前から家族信託で信頼できる家族に託しておけば、託された人間は資産管理や処分などの手続きを自身でおこなうことができるのです。
家族信託には「委託者」「受託者」「受益者」という3つの役割があり、委託者は受託者に財産を託し、受託者は受益者の利益のために財産の管理・処分を担います。
つまり、たとえば委託者と受益者を両親に、受託者を子どもにしておくと、所有者は両親のままで実質的な管理・処分などの権利を子どもに与えることができます。
また、通常の遺言と違い自分の子どもだけでなく孫やひ孫を相続人に指定できるなど、契約内容は信託を結ぶ当事者同士で決められるという特徴があります。
不動産相続に家族信託を利用するメリット・デメリット
家族信託の制度を利用するメリットとしては、被相続人(委託者)が心身ともに健康で判断能力があるうちに、相続する不動産などの管理を家族に任せられるということ。
不動産の所有者(親)が認知症になって意思能力を失なってしまうと、親名義のままの不動産の売却はとたんに難しくなってしまいます。
そういった場合や、将来的に委託者が介護施設などに入所した場合にも、家族信託を利用していれば受託者が単独で委託者名義の不動産を売却することができます。
そしてその不動産売却で得た利益を、施設の入所費や介護費になどにあてることもできるのです。
一方、デメリットとしては、家族信託は委託者の意志を尊重することに重きをおいた制度なため、節税効果がほとんどないということ。
課税対象がわかりにくい点もデメリットといえるでしょう。
また、受託者に不動産管理の権利を与えることになるため、当事者同士の信頼関係が可欠です。
場合によっては、家族トラブルなどをきっかけに受託者が財産を一人占めしてしまうということにもなりかねないので、受託者選びは慎重に進めましょう。